最近、「コンクリートスランプ廃止って本当?」「スランプ試験はなくなるの?」「JIS改正や国土交通省の方針はどうなる?」といった疑問を持つ方が増えています。現場で施工管理をしていると、スランプ試験とは何か、スランプ10cm廃止の意味、AI画像解析によるスランプ測定、土木と建築の違いなど、気になるポイントが多いですよね。
特に若手の施工管理や現場担当者にとっては、「もしスランプ試験廃止になったら品質管理はどうするの?」と不安に感じる部分もあると思います。
こんにちは、たかしんです。施工管理として15年、工程管理・安全管理を中心に現場を担当し、1級建築施工管理技士として多くの現場を見てきました。
この記事では、コンクリートスランプ廃止の背景、JIS改正のポイント、AI技術による新しい品質管理、そして現場がどう変わっていくのかを、施工管理の視点からわかりやすく解説していきます。
- コンクリートスランプ廃止の背景と理由
- JIS改正とスランプ10cm廃止の意味
- AI画像解析など新しい品質管理技術
- 土木と建築で違うスランプ試験の扱い
目次
コンクリートスランプ廃止の背景と理由

まずは、なぜコンクリートスランプ廃止という話が出ているのか、その背景を整理していきます。ここではスランプ試験の基本から、JIS改正、国土交通省の方針まで、現場で押さえておきたいポイントを解説します。
スランプ試験とはコンクリートの基礎知識
スランプ試験とは、フレッシュコンクリートの流動性(やわらかさ)を確認する試験です。現場ではミキサー車からコンクリートを採取し、スランプコーンという器具を使って高さの変化を測定します。
この試験によって、以下のような施工性を確認できます。
- コンクリートの流動性
- 打設しやすさ
- 型枠や鉄筋への充填性
施工管理としては、コンクリートの品質を現場で直接確認できる重要な検査という位置づけです。
スランプ値の目安(一般例)
- 8cm:硬めのコンクリート
- 12cm:一般的な建築構造物
- 15cm以上:流動性が高い
※あくまで一般的な目安であり、設計条件によって異なります。
ただし、この試験は人手作業が多く、生産性が低いという課題もありました。
関連記事
コンクリートのスランプ許容範囲とは?基準と試験方法を解説
スランプ試験廃止の理由と生産性向上
スランプ試験廃止の議論が進んでいる最大の理由は、建設業界の深刻な人手不足です。
スランプ試験は、実際の現場では次のような作業が必要です。
- ミキサー車からのサンプリング
- スランプ試験の実施
- 測定記録
- 試験器具の清掃
大規模現場ではミキサー車が次々に到着するため、検査待ちによってポンプ車が止まるケースもあります。
スランプ試験の課題
- 人手が必要
- 試験待ちで施工が止まる
- 測定誤差が発生する
- 作業時間が増える
こうした背景から、建設DXの流れの中で自動化や省人化が求められるようになりました。
JIS改正によるスランプ10cm廃止の影響
2024年のJIS改正では、レディーミクストコンクリートの規格が変更され、スランプ10cmが正式に廃止されました。
| 旧規格 | 新規格 |
|---|---|
| 8・10・12・15・18・21cm | 8・12・15・18・21cm |
これは単純な削減ではなく、施工性の向上を目的とした改正です。
実際の現場では10cmよりも12cmを使うケースが多く、次のようなメリットがあります。
- ポンプ圧送しやすい
- 充填性が高い
- 施工ミスが減る
つまり、現場実態に合わせた合理化という意味合いが強いですね。
国土交通省のスランプ試験廃止方針
土木分野では、国土交通省が受入検査の合理化を進めています。
その中で検討されているのが、次のような変更です。
- スランプ値を固定値指定しない
- AI計測による品質管理
- 全車両データのデジタル記録
今後の方向性
- 仕様規定から性能規定へ
- デジタルデータによる品質管理
- 現場検査の自動化
ただし、すぐに全現場でスランプ試験がなくなるわけではありません。制度や仕様書によって扱いは変わります。
AI画像解析によるスランプ測定技術

最近注目されているのが、AI画像解析によるスランプ測定です。
これはミキサー車から流れるコンクリートをカメラで撮影し、AIが流動性を解析してスランプ値を推定する技術です。
主なメリットはこちら。
- 全車両を自動検査できる
- 作業員が不要
- 記録が自動保存される
つまり、従来の抽出検査から全数検査へ変わる可能性があります。
ただしAI技術には、照明や雨など環境条件の影響を受ける場合があります。導入する場合は現場条件を確認することが重要です。
コンクリートスランプ廃止後の品質管理

ここからは、もしスランプ試験が合理化された場合、現場の品質管理がどう変わるのかを解説します。センサー技術や土木・建築の違いなど、実務で知っておきたいポイントです。
スランプ試験廃止の代替技術AI画像解析
AI画像解析は、今後のコンクリート品質管理の中心技術になる可能性があります。
解析では次のような要素をAIが判断します。
- 流速
- 表面状態
- 流量
- 骨材の見え方
これらを総合的に分析してスランプ値を推定します。
AI品質管理のメリット
- 人為ミスを減らせる
- データがクラウド保存
- リアルタイム管理
情報化ミキサーによるスランプ管理
もう一つの技術が情報化ミキサーです。
これはミキサー車のドラム内にセンサーを設置し、回転抵抗からコンクリートの状態を判断します。
メリットは、現場到着前に品質を把握できる点です。
- 運搬中の品質変化がわかる
- 待機時間の影響を確認できる
- 配合調整が早くできる
土木分野で進むスランプ試験廃止の動き
土木工事では、スランプ試験の合理化が比較的早く進んでいます。
理由は次の通りです。
- 国交省の統一仕様
- DX推進
- インフラ工事の効率化
今後は、AI計測+デジタル記録が標準になる可能性があります。
建築分野でスランプ試験廃止が進まない理由
一方、建築ではスランプ試験廃止の動きはかなり慎重です。
理由は大きく3つあります。
- JASS5の仕様
- 鉄筋密度が高い
- 監理者責任
特に建築ではジャンカや充填不良のリスクがあるため、現場での物理試験が重視されています。
建築工事では仕様書や監理者の判断が優先されます。実際の検査方法は必ず設計図書や仕様書を確認してください。
関連記事
コンクリート打設でジャンカを防ぐ方法|施工管理が押さえるべき原因と対策
コンクリートスランプ廃止の今後とまとめ
ここまで解説してきた通り、コンクリートスランプ廃止は完全になくなるというより合理化
ポイントを整理すると次の通りです。
- JIS改正でスランプ10cm廃止
- AI画像解析などDXが進む
- 土木は合理化が進む
- 建築は当面継続の可能性
施工管理として大事な視点
- 制度の変化を理解する
- DX技術を知る
- 仕様書を必ず確認する
なお、品質管理や規格の内容は変更される可能性があります。正確な情報は国土交通省やJISなど公式資料をご確認ください。
また、品質管理の方法は現場条件によって異なるため、最終的な判断は監理者や専門家へ相談することをおすすめします。
次におすすめする記事
コンクリート打設チェックリスト完全版 打設前から養生まで解説
コンクリートのスランプ許容範囲とは?基準と試験方法を解説
コールドジョイントの原因とは?発生メカニズムと施工管理が実践すべき防止策
コンクリート打設でジャンカを防ぐ方法|施工管理が押さえるべき原因と対策

