近年、選挙のたびにSNSやネット上で話題になるのが「期日前投票にはボールペンを持っていこう」という呼びかけ。実際に検索してみると、「鉛筆だと改ざんされる?」「ボールペンで書いても大丈夫?」など、不安や疑問の声が数多く見られます。
でも、そもそもなぜボールペンが話題になっているのでしょうか?本当に鉛筆では危ないのか?そして、自分で筆記具を持って行ったほうが良いのか?
この記事では、選挙の仕組みや投票用紙の素材、筆記具との相性などの視点から、「期日前投票にボールペンを持参すべき理由」を詳しく解説します。実際に筆記具を持って投票に行った体験も交えながら、安心して一票を投じるためのヒントをお届けします。
選挙期日前投票にボールペン持参が推奨される背景

投票用紙の「ユポ紙」とは?意外な素材の秘密
私たちが手にする投票用紙は、実は普通の紙ではありません。「ユポ紙」と呼ばれる合成紙が使われており、これはプラスチック系素材(ポリプロピレン)をベースにした耐水性・耐久性の高い紙です。水にも強く、破れにくいため、全国の選挙で広く使用されています。ユポ紙は折りたたんでもすぐ元に戻る性質があり、開票作業の効率化にも貢献しています。ですが、この紙の特性が筆記具選びに大きな影響を与えていることは、意外と知られていません。
鉛筆が標準で使われている理由

選挙の投票所には、原則として鉛筆が備え付けられています。これは、ユポ紙との相性を考慮してのことです。鉛筆は粒子で文字を書くため、紙の上にしっかりと跡を残すことができ、にじみや裏写りの心配がほとんどありません。さらに、万が一記載ミスをした場合でも、比較的簡単に消して書き直すことができます。開票作業の際も、鉛筆で書かれた文字は明瞭で、機械読み取りにも適しているのです。
ボールペン持参はOK?法律上の規定とは
実は、選挙において使用する筆記用具に法的な制限は設けられていません。つまり、有権者は自分でボールペンを持参して投票用紙に記入することも可能なのです。ただし、「消せるボールペン」など、後から改ざんが可能なものは、投票の信頼性を損ねる恐れがあるため使用が禁止されています。この点については、各選挙管理委員会も周知を強めており、適切な筆記具選びの重要性が強調されています。
なぜ「ボールペン持参」が話題になっているのか?

近年、SNSなどを中心に「鉛筆は書き換えられる可能性がある」といった不安の声が拡散されています。これにより、「自分の信頼できる筆記具で投票したい」と感じる人が増えてきました。中には、細かい筆跡や滑らかな書き心地にこだわる方もおり、普段から愛用しているボールペンで投票したいと考えるのは自然な流れかもしれません。
実際に筆記具を持参してみると、慣れた道具で記入できるため、記載ミスのリスクが減り、安心して投票を行うことができました。この「安心感」は、想像以上に大きなメリットです。
インクのにじみ・裏写りに要注意
ただし、すべてのボールペンが適しているわけではありません。ユポ紙はインクを吸収しにくい性質があるため、油性インクでないボールペンを使用すると、インクがにじんだり、乾く前に投票用紙を折ってしまうことで裏移りしてしまう可能性があります。このような場合、最悪の場合は「無効票」と判断されてしまうこともあります。
特に水性インクやジェルインク、消えるボールペンの使用には注意が必要です。筆記具の選択によっては、自分の大切な1票が反映されないリスクがあるということを、しっかり理解する必要があります。
ボールペン持参で選挙をもっと安心・確実に
「使い慣れた筆記具」で安心感と集中力がアップ
投票所という場所は、静かで独特の緊張感があります。初めて行く場所で、他の有権者の目を気にしながら記入することにプレッシャーを感じる人も少なくありません。そのような環境の中で、「使い慣れたボールペン」を持っていくことは、心理的に大きな安心感をもたらしてくれます。
実際に持参してみたところ、筆記時のブレや緊張が少なく、短時間でしっかりと記入できました。日常で使い慣れている道具の存在が、これほどまでに安心感をもたらすとは思いませんでした。
「不正防止」の観点からもボールペンは有効
鉛筆に対して「後から書き換えられるのではないか?」という声が一定数あるのも事実です。もちろん、選挙管理委員会は厳格に管理されており、実際に不正が行われるリスクは限りなくゼロに近いと言われています。しかし、有権者の不安を払拭するためにも、自身のボールペンで記入することには意味があります。
ボールペンで一度記入すれば、簡単に修正・改ざんはできません。この特性が「透明性」や「信頼性」という面でプラスに働くのです。特に期日前投票では、不在者投票のように郵送などが伴う場合もあり、「自分の票が確実に届くのか?」といった不安を軽減する効果が期待できます。
鉛筆かボールペンか――最終的な選択は有権者に
どの筆記具を使うべきかという問いに対して、絶対の正解はありません。鉛筆はにじみにくく、修正も可能という意味で非常に優れています。一方、ボールペンはインクによる明瞭な記入と、不正の懸念を感じにくいという心理的メリットがあります。
筆記具にこだわることは、自分の投票行動に対して責任を持つという意識の表れでもあります。重要なのは、「正確に記入できるかどうか」「無効票にならないかどうか」「自分の意志をしっかりと表せるかどうか」です。その上で、筆記具を選ぶ姿勢こそが、健全な民主主義の一歩なのかもしれません。
ボールペンを持参する際のチェックリスト
- インクが速乾性かどうか
- 油性インクか(水性インクは避ける)
- 消せるインクのペンではないか(使用NG)
- ペン先が細すぎず、滑らかに書けるものか
- 実際に試し書きをしてから持参する
このように、しっかりとした準備をして臨むことで、選挙に対する不安や疑問を取り除くことができます。たかがペン、されどペン。ボールペンひとつにしても、選挙の質が大きく左右されるのです。
情報の真偽を見極めて冷静に判断を
選挙期間中には、SNSや動画サイトを通じて多くの情報が飛び交います。その中には、「鉛筆は書き換えられる」「ボールペン以外では危険」など、極端な主張も少なくありません。しかし、公的機関の発表や事実に基づいた情報をもとに判断する姿勢が重要です。
選挙は、一人ひとりの意思によって社会を形づくる重要なプロセスです。その信頼性を守るためにも、落ち着いて正確な情報をもとに、賢く選択することが求められます。
■投票前に知っておきたい5つのこと
Q1. なぜ鉛筆が使われているのに、わざわざボールペンを持って行く人がいるの?
A1. 鉛筆は消しゴムで消せるため、「改ざんされるのでは?」という不安を感じる人もいるからです。ただし、選挙管理委員会では投票用紙の保存・管理に厳重な対策を講じており、改ざんの心配は基本的にありません。ボールペンを使うのは、あくまで“自衛”として安心感を得たい人が自主的に行っている対応です。
Q2. 投票所で自分のボールペンを使っても本当にいいの?
A2. 基本的には問題ありません。ただし、使える筆記具には条件があります。例えば、投票用紙は「ユポ紙」と呼ばれる特殊な素材でできており、インクがにじみにくいボールペンや油性ペンの使用が推奨されます。投票管理者が指定する場合もあるため、念のため係員に確認するのが安心です。
Q3. シャープペンシルやフリクションペンは使っても大丈夫?
A3. おすすめしません。シャープペンシルは消えやすく、フリクションペンは摩擦でインクが消えるため、投票内容の信頼性が保てなくなる恐れがあります。使用するなら消えにくいボールペンや鉛筆を選びましょう。
Q4. 間違えてペンで書き損じたら、もう投票できないの?
A4. いいえ、書き間違えても係員に申し出れば新しい投票用紙をもらえます。遠慮せず、すぐに伝えましょう。自分で修正することは禁止されているため、必ず係員の指示に従ってください。
Q5. ボールペン持参以外に、期日前投票で気をつけることは?
A5. 本人確認書類の持参や、事前に記入する「宣誓書」の準備が必要です。また、混雑を避けるためにも早めの時間帯を狙うとスムーズに投票できます。筆記具も含め、万全の準備で向かいましょう。
まとめ
選挙期日前投票において「ボールペン持参」が注目されている背景には、素材の特性、筆記具の特性、そして有権者の不安や希望が複雑に絡み合っています。筆記具ひとつとっても、選挙への意識と責任感が問われる時代。信頼できる道具を持って、自信を持って1票を投じる。それが、民主主義を支える確かな一歩になるのではないでしょうか。