2025年6月8日に東京・有明コロシアムで開催される那須川天心戦で注目を集めるビクトル・サンティリャン選手。WBAバンタム級6位にランクインする実力者の戦績と魅力を、客観的なデータとともに詳しく解説します。
目次
ビクトル・サンティリャンの基本プロフィールと戦績
引用元：【SPAIA】スパイア
基本情報
- 本名：ビクトル・サンティリャン（Victor Santillan）
- 生年月日：1995年7月22日（29歳）
- 出身地：ドミニカ共和国ラ・ロマーナ
- 身長：166cm
- 階級：バンタム級（118ポンド制限）
- スタンス：サウスポー
プロ戦績
- 戦績：14勝1敗（5KO）
- KO率：33.3%
- 現在のランキング：WBAバンタム級6位
サンティリャンの出身地であるドミニカ共和国は、野球で有名ですが実はボクシングでも多くの世界チャンピオンを輩出している格闘技強国です。カリブ海地域特有の身体能力の高さと、ラテン系選手特有のリズム感が彼の戦術の基礎となっています。
アマチュア時代の圧倒的実績
サンティリャンのプロでの成功は、アマチュア時代の豊富な経験に支えられています。
アマチュア戦績
- 総試合数：225試合
- 勝利数：200勝
- 敗戦数：25敗
- 勝率：88.9%
この驚異的な勝率は、彼の基礎技術の高さと戦術理解の深さを物語っています。アマチュアボクシングでは多様な相手との対戦経験を積むことができ、特に国際大会での経験は異なるスタイルの選手への対応力を養います。
アマチュア時代に培った経験値は、プロ転向後の安定した成績に直結しており、特に判定に持ち込まれた試合での冷静な試合運びに活かされています。
プロ転向後の戦績詳細分析
勝利の内訳と特徴
区分 戦績 **プロボクシング** 15戦 14勝 (5KO) 1敗
引用元：ビクター・サンティリャン – Wikipedia
戦 日付 勝敗 時間 内容 対戦相手 国籍 備考 1 2018年4月7日 ☆ 1R 2:37 TKO ルイス・リオス プエルトリコ プロデビュー戦 2 2018年6月9日 ☆ 4R 判定3-0 アレックス・ディアス アメリカ合衆国 3 2018年8月10日 ☆ 4R 判定3-0 エリオット・デ・ヘスス プエルトリコ 4 2018年11月16日 ☆ 4R 判定2-0 クリスチャン・ベレス プエルトリコ 5 2018年12月15日 ☆ 2R 終了 TKO アニーロ・ムニョス ドミニカ共和国 6 2019年3月16日 ☆ 5R 1:36 KO ケルビン・フィガロ ドミニカ共和国 7 2019年9月27日 ☆ 6R 判定3-0 ジェイソン・ベラ プエルトリコ 8 2019年12月15日 ☆ 8R 判定3-0 ルイス・ドミンゴ・エルナンデス・カムベロ ドミニカ共和国 9 2020年12月17日 ☆ 6R 判定3-0 ケルビン・フィガロ ドミニカ共和国 10 2021年5月15日 ☆ 10R 判定3-0 ホセ・アルマンド・バルデス・ベルナル メキシコ WBAカリブ海バンタム級王座決定戦 11 2021年12月8日 ☆ 6R 0:41 TKO マヌエル・ゴンサレス・ガルシア ドミニカ共和国 12 2022年6月11日 ☆ 8R 判定3-0 カルロス・カラバロ プエルトリコ 13 2022年12月16日 ☆ 6R 0:05 TKO レンソン・ロブレス ベネズエラ 14 2023年6月11日 ★ 12R 判定1-2 石田匠（井岡） 日本 WBA世界バンタム級挑戦者決定戦 15 2024年6月28日 ☆ 10R 判定3-0 アルフリー・ラミレス ドミニカ共和国 16 2025年6月8日 — 那須川天心（帝拳） 日本 試合前
サンティリャンの14勝の内訳を分析すると、以下の特徴が見えてきます：
- KO勝利：5試合（35.7%）
- 判定勝利：9試合（64.3%）
- 敗戦：1試合（判定負け）
KO率33.3%は決して高い数値ではありませんが、これは彼が一発の強打に頼らず、技術とスピードで相手を圧倒するスタイルであることを示しています。判定勝利が多いのは、12ラウンドを通じて安定したパフォーマンスを維持できる体力とメンタルの強さの証拠でもあります。
石田匠戦の敗戦から学んだもの
サンティリャンの唯一のプロ敗戦は2023年6月石田匠戦の試合で記録されました。この敗戦は僅差の判定によるもので、多くのボクシング専門家がスコアに疑問を呈した接戦でした。
この経験は彼にとって重要な転機となり、その後の試合では以下の改善点が見られます：
- より積極的な攻撃姿勢
- 判定に委ねない明確なダメージの蓄積
- メンタル面での成長と試合への集中力向上
敗戦後の試合成績を見ると、より完成度の高いボクシングを展開しており、この経験が彼の成長を促進したことは明らかです。
ファイトスタイルの詳細分析
サウスポーとしての優位性
サンティリャンの最大の武器は、洗練されたサウスポースタイルです。
具体的な戦術
- 正確無比な左ストレートによるポイント獲得
- 右リードジャブでの距離コントロール
- フットワークを活かした位置取りの優位性
多彩な攻撃パターン
サンティリャンの攻撃は単調ではなく、以下のようなバリエーションに富んでいます：
- 左ストレート: 最も威力のある決定打
- 右リードフック: 相手の意表を突く有効打
- コンビネーション: 左右の打ち分けによる連続攻撃
- カウンター: 相手の攻撃に合わせた反撃
これらの技術は、アマチュア時代の豊富な経験と、プロでの実戦を通じて磨き上げられたものです。
注目の那須川天心戦展望
試合の重要性
2025年6月8日に東京・有明コロシアムで開催される那須川天心戦は、サンティリャンにとって大きな意味を持つ試合です。
試合の位置づけ
- WBAバンタム級前哨戦
- 日本での知名度向上の機会
- 世界タイトル挑戦権獲得への重要なステップ
戦術的な見どころ
この対戦における注目ポイントは以下の通りです：
サンティリャン側の優位点
- プロボクシングでの豊富な経験（15戦）
- サウスポー対オーソドックスの相性
- 国際的な試合経験の豊富さ
那須川選手側の優位点
- 日本での圧倒的な実績と知名度
- ホームアドバンテージ
- キックボクシングで培った多彩な攻撃技術
勝敗を分けるポイント
この試合の勝敗は以下の要素で決まると考えられます：
- 序盤のペース掌握: どちらが自分のリズムを作れるか
- 距離感のコントロール: サンティリャンのサウスポーに那須川がどう対応するか
- 体力配分: 12ラウンドを通じた持久力の差
- 精神的プレッシャー: アウェーでの試合に対するサンティリャンの対応力
今後のキャリア展望
世界ランク上位への道筋
現在WBAバンタム級6位のサンティリャンが世界タイトルに挑戦するためには、以下のステップが必要です：
短期目標（2025年）
- 那須川天心戦での勝利
- WBAランキングトップ5入り
- 他団体ランカーとの対戦実現
中期目標（2026-2027年）
- 世界ランキングトップ3入り
- 世界タイトル挑戦権獲得
- 統一王者への挑戦機会の創出
バンタム級の現状と挑戦
現在のバンタム級は激戦区として知られており、以下のような強豪選手が君臨しています：
- 井上尚弥（WBA・WBC・IBF・WBO統一王者）
- その他各団体の有力挑戦者たち
サンティリャンが頂点を目指すためには、これらの強豪との対戦を避けて通ることはできません。
よくある質問（Q&A）
Q1：サンティリャンの唯一の敗戦について詳しく教えてください
A1：2022年の試合で判定負けを喫しましたが、多くの専門家がスコアに疑問を呈した接戦でした。この経験が彼の技術向上の転機となり、その後の試合でより完成度の高いボクシングを見せています。メンタル面での成長も顕著で、プレッシャーのかかる場面での対応力が向上しています。
Q2：バンタム級でのサンティリャンの身体的特徴は？
A2：身長166cmはバンタム級では標準的ですが、サウスポーとしての戦術的優位性が大きな特徴です。リーチや体格よりも、スピードとフットワーク、そして角度を活かした攻撃が彼の武器となっています。
Q3：ドミニカ共和国のボクシング環境について教えてください
A3：ドミニカは野球のイメージが強いですが、実はボクシングでも多くの世界チャンピオンを輩出している強豪国です。カリブ海地域特有の身体能力の高さと、ラテン系選手特有のリズム感が多くの優秀なボクサーを生み出しています。
Q4：那須川天心戦の勝敗予想はどうですか？
A4：両者ともに高い技術を持つため接戦が予想されます。サンティリャンのサウスポーと国際経験、那須川の日本での圧倒的な実績、どちらが試合をコントロールできるかが鍵となるでしょう。プロボクシングのルールでの経験値ではサンティリャンに分がありますが、那須川の適応力も侮れません。
Q5：サンティリャンの今後の目標は何ですか？
A5：最終目標は間違いなく世界タイトル獲得です。那須川戦での勝利を足がかりに、WBAランキングのさらなる上昇を目指し、最終的には井上尚弥をはじめとする現在の王者たちへの挑戦権獲得を狙っていると考えられます。
まとめ
ビクトル・サンティリャンの戦績は、アマチュア時代の豊富な経験とプロでの着実な成長を物語っています。14勝1敗という数字以上に、その内容と質の高さが彼の真の実力を示しています。
サウスポーとしての技術的優位性、アマチュア200勝で培った基礎力、そしてプロでの実戦経験が組み合わさった完成度の高いボクサーです。那須川天心戦は彼のキャリアにとって重要な分岐点となり、この試合の結果が今後の世界タイトル挑戦への道筋を決定づけることになるでしょう。
ドミニカボクシング界の新たな希望として、そして世界バンタム級の有力挑戦者として、サンティリャンの今後の活躍から目が離せません。技術・経験・メンタル面での成長を続ける彼が、どこまで世界の頂点に近づけるのか、ボクシングファンならずとも注目したい選手の一人です。
参考情報源
- BoxRec（ボクシング公式記録）: https://boxrec.com/en/box-pro/832879 WBA公式サイト: https://www.wbaboxing.com/wba-boxer-profile?id=10519 Tapology（格闘技データベース）: https://www.tapology.com/fightcenter/fighters/262117-victor-santillan Wikipedia（英語版）: https://en.wikipedia.org/wiki/Victor_Santillan Wikipedia（日本語版）: https://ja.wikipedia.org/wiki/ビクター・サンティリャン
本記事の戦績データは2025年6月時点の情報に基づいています。最新の情報については公式サイトをご確認ください。
