この事件は、多くの人々に衝撃を与えました。そして今回、容疑者が「心神耗弱」と判断されたという報道があり、さらに複雑な議論を呼んでいます。なぜこのような判断が下されたのか、その背景を詳しく見ていきましょう。そして、私たちはこの「心神耗弱」という判断をどう受け止めるべきなのでしょうか。
目次
「鑑定留置」で明らかになった驚きの真実とは?
引用元:産経ニュース
2024年12月に北九州市小倉南区で起きたマクドナルド殺傷事件は、多くの人々に衝撃を与えました。この事件で逮捕された平原政徳容疑者には、2度にわたる鑑定留置が行われていたことが明らかになりました。
「責任能力あり」とされた最初の鑑定
一度目の鑑定留置では、平原容疑者に精神疾患があったと認められましたが、責任能力に問題はないと判断されたそうです。事件後に逃走したり、家に引きこもったりするなど、捜査を警戒するような行動も、この判断の根拠になったようです。
精神疾患が事件に与えた影響とは
しかし、最初の鑑定報告書では精神疾患が事件に与えた影響について詳しく書かれていませんでした。裁判員裁判になった場合、この点が大きな争点になると考えられたため、検察は2度目の鑑定留置に踏み切ったようです。2度目の鑑定留置は、なんと5ヶ月間にも及びました。この期間の長さからも、検察が慎重に捜査を進めていたことがうかがえます。
「心神耗弱」が意味すること
2度目の鑑定の結果、平原容疑者には妄想の症状があり、それが事件に影響を与えたと判断されました。平原容疑者は「2人に笑われたと思った」と供述していますが、面識のない中学生を殺傷した理由としては不可解な部分が多く、この妄想の症状が大きな鍵を握っていたことがわかります。この鑑定結果を受けて、検察は平原容疑者を心神耗弱状態だったと判断したようです。心神耗弱とは、精神疾患の影響で善悪の判断能力が限定的に失われている状態を指し、完全に判断能力が失われている「心神喪失」とは異なり、罪に問えるとされています。
なぜ「罪に問える」とされたのか?
心神耗弱と判断された場合でも、刑罰が減軽されることはありますが、無罪になるわけではありません。検察は、平原容疑者の善悪の判断能力が完全に失われていたわけではないと判断したのでしょう。この事件は、なぜこんなことが起きてしまったのか、その動機が特に気になっていました。今回の鑑定で、精神疾患による妄想が事件に影響を与えた可能性があるということが明らかになり、少し複雑な気持ちです。罪を犯したことには変わりないですが、今後の裁判でどのように責任が問われるのか、注目していきたいです。
刑が減刑されることは絶対にあってはならない
この事件の背景には精神疾患があったとはいえ、罪の重さが軽くなることは絶対にあってはならないと考えます。被害者やそのご遺族の受けた苦しみは、加害者の精神状態によって軽くなるものではありません。加害者が心神喪失や心神耗弱と判断されても、被害者側が受けた身体的、精神的な苦痛が消えることはないのです。
また、心神耗弱を理由とした減刑は、今後の犯罪に悪用される可能性も否定できません。計画的な犯行でありながら、精神疾患を偽って責任能力を否定し、刑を逃れようとする者が出てくるかもしれません。このような前例は、法の公平性を損ない、社会全体の安全を脅かすことにつながります。
犯罪を犯した者は、精神状態に関わらず等しく法の裁きを受けるべきです。被害者の心情が尊重され、加害者が責任から逃れることがない社会こそが、公正な社会と言えるのではないでしょうか。この事件が、被害者やご遺族の心情を軽んじることなく、公正な判決が下されることを願います。