引用元：文春オンライン
女優・唐田えりかの演技をめぐっては、デビュー以来さまざまな評価が交錯してきました。「表情が乏しい」「感情表現が読み取りにくい」という指摘がある一方で、2018年の映画『寝ても覚めても』では第42回山路ふみ子映画賞新人女優賞、第40回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞し、演技力が評価された実績もあります。
そして2024年9月、Netflixで配信開始された『極悪女王』は配信初日から16日間連続で日本の「今日のTOP(シリーズ)」1位、さらには「Netflix週間TOP10(シリーズ)」でも2週連続1位を獲得する大ヒットとなり、唐田の演技が改めて注目を集めています。
本記事では、唐田えりかの演技スタイルの特徴や評価が分かれる理由、そして最新作での変化について、客観的な視点から解説していきます。
目次
唐田えりか、演技が下手？その評判と真実に迫る
「感情表現が控えめ」という演技の特徴
唐田えりかの演技について最も多く聞かれる意見が、「感情表現が控えめ」「淡白に見える」というものです。セリフの抑揚が少なく、表情の変化も穏やかなため、視聴者によっては「演技力が不足している」と感じられることがあります。
この演技スタイルは、作品や役柄との相性によって評価が大きく変わります。内省的で静かな役柄では効果的に働く一方、感情の起伏が激しい役では物足りなさを感じさせることもあるのです。
過去作品での評価
唐田は2018年公開の『寝ても覚めても』でヒロイン役に抜擢され、第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品されるなど、国際的にも注目を集めました。しかし、この作品でも演技に対する評価は二分されています。
濱口竜介監督の独特な演出手法のもとで繊細な心理描写を表現した一方で、「何を考えているか分かりにくい」という意見もあり、彼女の演技スタイルが万人受けするものではないことが浮き彫りになりました。
2020年の報道とキャリアへの影響
2020年、唐田えりかは私生活に関する報道により、一時活動を自粛する期間がありました。この出来事が女優としての評価にも影響を与えたことは否定できません。しかし、彼女はこの困難な時期を経て、女優としての覚悟を新たにすることになります。
『極悪女王』で見せた新境地――10kg増量と丸刈りへの挑戦
長与千種役への覚悟
唐田は『極悪女王』のオーディションに「受からなかったら私のキャリアは終わり、という覚悟で挑んだ」と語っています。この作品で彼女が演じたのは、1980年代に女子プロレス界で活躍した長与千種役です。
役作りのため10kgの増量を行い、さらに劇中の髪切りデスマッチシーンでは実際に丸刈りにするなど、これまでにない肉体的・精神的挑戦に臨みました。
プロレススーパーバイザー長与千種本人からの評価
作品のプロレススーパーバイザーを務めた長与千種本人は「本当に女優の概念を覆されます。私も今までプロレス関係の作品を携わってきたのですが、今回は全ての概念を覆しました」とコメントしており、唐田の演技と役への献身的な姿勢を高く評価しています。
視聴者からの反響
配信から約2週間が経過した時点でも、『極悪女王』は視聴者から大きな反響を集め、唐田えりかと剛力彩芽が演じた「クラッシュギャルズ」が特に話題となりました。
静かでありながら力強い、内面から滲み出る説得力のある演技は、これまでの「感情表現が薄い」という評価を覆すものでした。セリフの量が多くないにもかかわらず、役柄の葛藤や成長がしっかりと伝わる演技は、多くの視聴者に深い印象を残しました。
演技力をどう評価すべきか？客観的な視点
演技の「上手い・下手」とは何か
演技の良し悪しを判断する際、重要なのは以下のような要素です。
- 役柄との適合性:その演技スタイルが役柄に合っているか
- 感情の伝達力:観客に意図した感情が届いているか
- 身体表現:セリフだけでなく、身体全体で役を表現できているか
- 作品世界への貢献:作品全体の質を高めているか
唐田えりかの場合、静かな演技スタイルは内省的な役柄では効果的に働きますが、激しい感情表現が求められる役では課題が残ることもあります。つまり、「演技が下手」というよりも「役柄との相性によって評価が変わる女優」と言えるでしょう。
『寝ても覚めても』から『極悪女王』への成長
唐田は『寝ても覚めても』のオーディションを受ける直前、演技に自信が持てず「もうこの仕事辞めたい」と事務所に伝えていたといいます。しかし、その後の受賞を経て、演技への向き合い方が変化しました。
そして『極悪女王』では、これまでとは異なる肉体的・精神的挑戦を通じて、新たな演技の可能性を見せています。女優としての成長曲線は、決して平坦ではなかったものの、確実に上向きに転じていると言えるでしょう。
Q&A:唐田えりかの演技についてよくある疑問
Q1. 唐田えりかはどんな作品に出演していますか?
A. 主な出演作品には、2018年の映画『寝ても覚めても』(濱口竜介監督)でヒロイン役、ドラマ『あなたの番です』(2019年)、そして2024年9月配信開始のNetflix『極悪女王』で長与千種役などがあります。特に『極悪女王』は女子プロレスラー役という新境地に挑戦し、大きな話題となりました。
Q2. 「演技が控えめ」と言われる理由は何ですか?
A. 唐田えりかの演技スタイルは、感情表現が淡白で抑揚が少ない傾向があります。これが「控えめ」「淡白」と受け取られることがありますが、役柄によってはこの静かな演技が効果的に働くこともあります。演技の良し悪しというよりも、役柄との相性が重要だと言えるでしょう。
Q3. 2020年の報道後、女優活動はどうなりましたか?
A. 2020年の私生活に関する報道後、一時期活動を自粛していました。休養期間中に『極悪女王』のオーディションに臨み、当時は「この仕事を続けていいのかな」とネガティブな気持ちが強かったものの、事務所の社長やスタッフが後押しをしてくれたといいます。その後、徐々に復帰し、2024年の『極悪女王』で本格的にカムバックを果たしました。
Q4. 『極悪女王』ではどんな役作りをしましたか?
A. 長与千種役のため、10kgの増量を行い、劇中の髪切りデスマッチシーンでは実際に丸刈りにするなど、これまでにない肉体的・精神的挑戦に臨みました。長与千種本人とのコミュニケーションを重ね、プロレスの技術も直接指導を受けたとのことです。
Q5. 今後の活躍は期待できますか?
A. 『極悪女王』での再評価を機に、今後さらに多様な役柄に挑戦する可能性が高まっています。特に、肉体的・精神的に困難な役柄への挑戦を通じて、演技の幅を広げていることから、新たなファン層の獲得も期待できるでしょう。
まとめ:評価が分かれる理由と、これからの期待
唐田えりかの演技は、万人受けするタイプではないかもしれません。感情表現が控えめなスタイルは、視聴者によって「物足りない」と感じられることもあります。
しかし、『極悪女王』が示したように、適切な役柄と出会ったとき、彼女の静かな表現力は確かな説得力を持ちます。困難な時期を経て、「この仕事を続けていいのかな」と悩みながらもオーディションに挑んだ彼女の姿勢は、女優としての真摯さを物語っています。
演技の評価は主観的なものであり、一人の女優を「上手い」「下手」と単純に判断することはできません。過去のイメージや報道にとらわれず、作品ごとに変化する彼女の演技を、一つ一つ丁寧に見ていくことが、フェアな評価につながるのではないでしょうか。
唐田えりかの次なる挑戦に、ぜひ注目してみてください。
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