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若手施工管理の頃、工程を詰めすぎて現場を混乱させた失敗談

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「工程を守るのが施工管理の仕事」

若手の頃、
私はこの言葉を少し間違って理解していました。

工程が遅れそうになると、

  • どうにかして詰める
  • 何とか同時作業にする
  • 職人さんに無理をお願いする

結果、
工程どころか、現場そのものを混乱させた
そんな失敗があります。

はじめまして、たかしんです。
施工管理として15年以上、工程管理と安全管理を中心に現場を見てきました。

この記事では、
工程を守ろうとして、逆に現場を壊しかけた若手時代の失敗と、
そこから学んだ考え方をお伝えします。

目次

工程優先の現場で起きた「ある失敗」

当時の私を取り巻く状況

入社4年目、私が担当したのは工期の厳しい現場でした。

  • 当初の工期:3ヶ月
  • 発注時の変更:2ヶ月に短縮
  • 工程会議:進捗報告が中心で、安全面の検証は形式的

当時の私は「工程を守れない=無能な施工管理者」と思い込んでおり、工期厳守にばかり意識が向いていました。

関連記事:『工程表が守れない本当の理由|若手施工管理が最初に直すべきこと

遅れを取り戻すために下した3つの判断

工程が3日遅れた時、私はこんな判断をしました。

判断①:本来別日の作業を同日に実施

型枠工事・配筋工事・設備工事を同時進行させました。結果、作業動線が交錯し、資材置き場が取り合いになりました。

判断②:他業種の同時作業を大幅に増加

通常1日2業種のところを、4業種同時作業に。「これで工数が倍になる」と考えましたが、実際は確認作業や調整時間が増え、効率は悪化しました。

判断③:作業時間の延長

定時8時間作業を10時間に延長。職人さんの残業時間は月60時間を超え、労働基準法の上限ギリギリ(月45時間、特別条項適用で月80時間)に近づいていました。

「これで工程は戻る」

私はそう思っていました。工程表の上では、確かに遅れは解消されつつありました。

現場で起きた深刻な変化

混乱のサインが次々と現れた

作業開始から3日目、現場の雰囲気が明らかに変わりました。

起きた問題:

  • 作業場所の競合:「ここは今日ウチが使う予定だった」という声が頻発
  • 指示系統の混乱:「今日は誰がどこで何やるんだ?」と詰め寄られる
  • 職人さん同士の連携支障:通常なら笑顔で挨拶していた職人さんたちの表情が硬い
  • 朝礼の時間延長:調整事項が増え、30分超える日も

現場が「静か」ではなく「ピリピリ」していました。

危険な場面が急増した

さらに深刻だったのは、安全面での問題です。

  • 動線の交錯:人と人がぶつかりそうになる場面が1日に3回以上
  • 上下作業の増加:本来禁止すべき作業が「時間がない」という理由で実施される
  • KY活動の形骸化:「いつもと同じで」と確認が雑に
  • ヒヤリハット報告:前週比で3倍に増加

労働安全衛生法では、同一場所での複数作業は事前の調整・周知が義務付けられています(労働安全衛生規則第636条)。私の判断は、この基本ルールを無視したものでした。

関連記事:KY活動が形骸化する原因とは?若手施工管理が安全管理で最初に直すべきこと

なぜ私は間違った判断をしたのか?3つの原因

今振り返ると、失敗の原因ははっきりしています。

原因①:工程管理=スケジュール調整だと勘違いしていた

当時の私は、工程管理を「日付を動かす作業」だと思っていました。

しかし本当は、

  • の配置
  • 作業の優先順位
  • 順番の論理性

これらを整理し、現場全体を最適化する仕事です。

原因②:安全を「後で考えるもの」にしていた

私の頭の中は、こうでした。

  1. まず工程を回復
  2. 余裕ができたら安全対策

この優先順位が、根本的に間違っていました。

工程の無理は、必ず安全の無理につながります。

厚生労働省の労働災害統計によれば、建設業の死傷災害の多くは「工期の逼迫」「作業の輻輳」が背景にあると指摘されています。

関連記事:工程遅れを取り戻す時に若手施工管理が絶対にやってはいけない3つのこと

原因③:職人さんの負担を想像できていなかった

同時作業が増えることで生じる、

  • 精神的ストレス(誰がどこで何をしているか把握できない不安)
  • 肉体的疲労(残業続きで集中力が低下)
  • 段取りの混乱(必要な資材がすぐに取り出せない)

これらを、私は軽視していました。

結果、協力してもらえる現場ではなくなっていきました。

この失敗が教えてくれた3つの教訓

ベテラン職人さんから「このままじゃ誰か怪我するぞ」と指摘され、私はようやく上司に報告しました。

工程を1週間巻き戻し、同時作業を減らし、1日1業種を原則にしました。朝礼で「今日はこの作業だけ」と明確化したところ、職人さんの表情が変わりました。

最終的には工期内に竣工でき、「あの時、ちゃんと止めてくれて良かった」と後日言われた言葉が、今も私の判断基準になっています。

教訓①:工程は「詰める」ものではなく「整える」もの

改善後、私が実践したこと:

  • 同時作業は2業種までに制限
  • 作業順序の論理性を徹底確認(「この後にこれができない」をゼロに)
  • 無理な日を作らない(1日あたりの作業量を平準化)

結果、工程はむしろ安定しました。

教訓②:危険が増えたら、それは失敗した工程管理

工程表上は進んでいても、

  • ヒヤリハットが増える
  • KY活動が雑になる
  • 職人さんの表情が硬い

これらは、工程管理が失敗しているサインです。

関連記事:『危険作業を止めるべきか迷ったときに、若手施工管理が判断するための基準

教訓③:若手は「一人で工程を背負わない」

工程が厳しい時ほど、

  • 上司
  • 先輩施工管理
  • 元請担当者

に早く共有することが重要です。

「報告したら無能だと思われる」という恐怖がありましたが、実際は逆でした。早期報告により、会社全体でのバックアップ体制が組まれ、結果的に信頼を得ることができました。

【若手施工管理へ】工程管理で絶対に守るべきこと

工程を守ろうとする姿勢は、間違っていません。

でも、

工程を守るために現場を壊しては、本末転倒です。

工程管理とは「スケジュール調整」ではなく、「現場を守りながら、確実に進める判断」なのだと学びました。

工程計画の基本チェックリスト

  • □ 同日作業は3業種以内か
  • □ 作業スペースは十分確保されているか
  • □ 責任者・連絡体制は明確か
  • □ 緊急時の避難経路は確保されているか
  • □ 職人さんの休憩時間は確保されているか

この失敗談について、よく聞かれること

Q1. 工程を詰めすぎたことに、どのタイミングで気づきましたか?

作業開始3日目、ベテラン職人さんから「今日は誰がどこで何やるんだ?」と詰め寄られた時です。指示が重複し、資材置き場も取り合いになっていました。

現場が「静か」ではなく「ピリピリ」していたら、それは危険信号です。

Q2. その後、どうやって現場を立て直したんですか?

まず上司に報告し、工程を1週間巻き戻しました。同時作業を減らし、1日1業種を原則に。朝礼で「今日はこの作業だけ」と明確化したところ、職人さんの表情が変わりました。

スピードより「確実さ」を優先した結果、最終的には工期内に収まりました。

Q3. 「工程優先の現場」で若手が意見するのは難しくないですか?

確かに難しいです。だからこそ「データで話す」ことが重要です。

  • 「ヒヤリハット報告が先週比3倍」
  • 「残業時間が月60時間超え(労基署基準に抵触リスク)」

など、数字で示すと上司も動きやすくなります。感情ではなく事実で伝えましょう。

Q4. 同時作業自体が悪いわけではないですよね?

その通りです。計画的な同時作業は効率化に必要です。

問題なのは「無計画な詰め込み」。安全管理・動線確保・責任者配置ができていれば、同時作業も有効です。

私が批判したのは「遅れを取り戻すための場当たり的な同時作業」です。

Q5. この失敗で、あなた自身はどんな処分を受けましたか?

始末書と上司からの厳重注意です。

ただ、「隠さず報告した点」「すぐに改善案を出した点」は評価されました。

失敗は誰でもします。大事なのは早期発見・早期対処・再発防止です。

まとめ|工程管理の本質

この失敗から学んだ、たかしんルール:

  1. 同時作業を増やしすぎない(原則2業種まで)
  2. 工程と安全は必ずセット(どちらかを犠牲にしない)
  3. 危険が増えたら工程は見直す(進捗<安全)
  4. 一人で抱え込まない(早期報告が信頼を生む)

良い工程管理とは、現場が落ち着いて回っている状態です。

もしあなたの現場が今、ピリピリしているなら——それは工程を見直すサインかもしれません。

一人で抱え込まず、一度立ち止まって確認してください。あなたの勇気ある判断が、現場を、職人さんを、そして未来の自分を守ります。

参考リンク・関連情報

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この記事を書いた人

プロフィール:
はじめまして、たかしんです。
施工管理として15年以上、工程管理・安全管理を中心に現場を見てきました。
このサイトでは、若手施工管理が現場で詰まらないための「実務の判断基準」を発信しています。