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若手施工管理の頃、KYを軽く考えていたせいでヒヤリを防げなかった失敗談

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正直に言います。

若手の頃の私は、KY活動を少し軽く見ていました。

  • 毎日やっているし
  • 事故も起きていないし
  • 形だけでも問題ないだろう

そう思っていた結果、「防げたはずのヒヤリ」を見逃した現場があります。

はじめまして、たかしんです。
施工管理として15年以上、工程管理と安全管理を中心に現場を見てきました。

KY活動とは「危険予知活動(Kiken Yochi)」の略で、作業前に潜在的な危険を予測し対策を立てる安全管理手法です。建設業では労働災害防止の要として、朝礼時などに実施されています。

この記事では、KYを「作業」だと思っていた頃に起きた失敗と、そこから学んだ安全管理の考え方をお話しします。

この記事で得られること

  • KY活動が形骸化する具体的なメカニズム
  • 明日から実践できる改善策3つ
  • 若手でも現場の安全を変えられる方法
  • すぐ使えるKYチェックリスト

目次

当時のKYは「いつものやつ」だった

その現場では、KY活動は毎朝きちんとやっていました。

ただし、中身は…

  • 転倒注意
  • 落下注意
  • 周囲確認

ほぼ毎日同じ内容。

私は「一応やってるし問題ない」と思っていました。

今思えば、これは典型的な「形骸化したKY活動」そのものです。

関連記事:KY活動が形骸化する原因とは?若手施工管理が安全管理で最初に直すべきこと

その日の作業内容とKYが噛み合っていなかった

その日のメイン作業は、複数業者が絡む段取りの多い工程でした。

  • 人の動線が交差する
  • 資材の搬入がある
  • 作業内容が普段と違う

本来なら、具体的な危険ポイントを共有すべき日でした。

でもKYは、「いつもの注意事項」で終わりました。

なぜ気づけなかったのか

当時の私には、「工程表とKYを連動させる」という視点が欠けていました。作業内容が変わる日こそ、危険も変わるという当たり前のことに気づいていなかったのです。

実際に起きたヒヤリハット

作業中、資材搬入のタイミングで人が集中しました。

  • 通路が一時的に狭くなる
  • 作業に意識が向く
  • 周囲確認が遅れる

結果、人同士がぶつかりそうになるヒヤリが発生しました。

事故にはなりませんでしたが、資材と作業員の衝突という重大事故につながりかねない場面でした。幸い怪我はありませんでしたが、冷や汗が止まりませんでした。

ハインリッヒの法則を思い知った

厚生労働省の労働災害統計によれば、建設業は全産業の中で労働災害発生率が高い業種の一つです(参考:厚生労働省「労働災害発生状況」)。

ヒヤリハット300件の背後には29件の軽微な事故、そして1件の重大災害があるという「ハインリッヒの法則」を考えると、この「事故にならなかった」という幸運に頼ってはいけないと痛感しました。

なぜこのヒヤリを防げなかったのか

後日、この失敗を振り返ったとき、原因の構造が見えてきました。

根本原因:KYが「今日の作業」を見ていなかった

  • 作業内容
  • 人の動き
  • いつもと違う点

これらをKYに落とし込んでいませんでした。

KYはその日の作業の予習です。教科書を読まずに試験を受けるようなものでした。

背景要因:「事故が起きていない」ことに甘えていた

  • 今まで大丈夫だった
  • 今日も大丈夫だろう

この思考は、以前に危険作業を止められなかった失敗と同じ構造です。「正常性バイアス」に囚われていました。

関連記事:危険作業を止めるべきか迷ったときに、若手施工管理が判断するための基準

組織的要因:KYを深く考えなくても現場が回ってしまっていた

現場が回っていると、「変えなくていい」と思ってしまいます。

でも、回っている=安全ではありません。

形式的なKY活動でも日常作業は進むため、本質的な問題が見えにくくなっていたのです。

この失敗でKYに対する考え方が変わった

このヒヤリ以降、私はKYのやり方を根本から見直しました。

改善策① 危険を3つまで具体化する

【変更前】

  • 転倒注意
  • 落下注意
  • 周囲確認

【変更後】

  • 資材搬入時(10:00-11:00)の通路狭小化による接触リスク → 誘導員配置
  • 3階作業床での型枠解体時の資材落下リスク → 下部立入禁止区域設定
  • 新人作業員の電動工具使用時の誤操作リスク → ベテランによる直接指導

「どこで・誰が・どう危ないか」を、必ず言葉にする。

量より具体性を優先しました。

改善策② 工程と一緒にKYを見る

朝礼前に必ず確認するようにしたこと

  • 今日の工程
  • 重なる作業
  • 複数業者が入る時間帯
  • 無理な段取りの有無

工程遅れを取り戻そうとするときほど、安全管理が疎かになりがちです。工程とKYを連動させることで、「急いでいるからこそ危ない」という視点を持てるようになりました。

関連記事:工程遅れを取り戻す時に若手施工管理が絶対にやってはいけない3つのこと

改善策③ 若手でも止めていい空気を作る

現場で実践したこと

  • 「気になったら言ってください」と朝礼で明言する
  • 「一回止めましょう」を躊躇なく言える雰囲気づくり
  • 若手の指摘を「よく気づいた」と評価する

これは危険作業を止める判断基準を明確にすることにもつながりました。

関連記事:危険作業を止めるべきか迷ったときに、若手施工管理が判断するための基準

ビフォー・アフター比較表

改善前後のKY活動を比較すると、以下のように変わりました。

項目失敗前のKY改善後のKY
内容転倒注意、落下注意(抽象的)資材搬入時の通路狭小化による接触リスク(具体的)
対象全員一律搬入業者と○○作業担当者(明確)
時間いつでも10:00-11:00(時間帯指定)
対策(なし)通路幅確保、誘導員配置(実行可能)
所要時間3分(形式的)10分(内容重視)

改善後に防げた成功事例

この改善を続けた3ヶ月後、別の現場でこんなことがありました。

その日のKYで若手作業員が「今日は足場の組み替えとクレーン作業が重なりますよね。接触の危険があるのでは?」と指摘。

すぐに作業時間をずらす判断をした結果、潜在的な重大事故を事前に防ぐことができました。

形骸化したKYでは、この指摘は出なかったはずです。

若手施工管理の方へ伝えたいこと

KYは、

  • 書類ではありません
  • ルーティンでもありません
  • その日の作業を安全に終わらせるための打ち合わせです

もし今、「毎日同じKYを書いている」と感じていたら、それは個人の問題ではなく、KY活動の仕組みや現場の文化そのものに原因があります。

視点を変えれば、KYは必ず生きたものに変えていけると私は考えています。

明日から使えるKYチェックリスト

すぐに実践できるチェック項目を用意しました。

【朝礼前に確認すること】
□ 今日の作業内容を工程表で確認した
□ いつもと違う点を3つ挙げた
□ 複数業者が重なる時間帯を確認した
□ 新人や不慣れな作業者の有無を確認した
□ 天候・気温など環境要因を考慮した

【KY活動で具体化すること】
□ 「どこで」危険が発生するか明示した
□ 「誰が」危険に晒されるか特定した
□ 「どう」危ないのか説明した
□ 具体的な対策を決めた
□ 対策の実施時間・担当者を明確にした

このチェックリストを印刷して、作業日報に挟んでおくことをおすすめします。

KY活動についてよくある疑問

Q1. 効果的なKY活動は具体的にどれくらい時間をかけるべきですか?

A. 作業規模にもよりますが、5〜15分程度が目安です。重要なのは時間の長さではなく「その日の作業内容に即した具体的な危険予知ができているか」です。複数業者が入る日や特殊作業がある日は、通常より時間をかけて丁寧に行いましょう。

Q2. 毎日同じ作業の繰り返しでも、KYの内容を変える必要がありますか?

A. はい、必要です。同じ作業でも天候・人員配置・疲労度・作業の進捗状況によって危険ポイントは変わります。「今日は雨で足場が滑りやすい」「新人が入った」など、その日特有の要素を必ず盛り込みましょう。

Q3. 若手が「危ない」と感じても、ベテランに止められない雰囲気があります。どう対応すべきですか?

A. まずは上司や安全管理責任者に相談しましょう。それが難しい場合は、「確認のため一度止めてもいいですか?」と質問形式で声をかける方法も有効です。記事内でも触れましたが、「止めていい空気」は現場全体で作るものです。

Q4. KY活動で挙げた危険が実際には起こらなかった場合、過剰反応だったのでしょうか?

A. いいえ、それは成功です。KY活動の目的は「事故を未然に防ぐこと」であり、予測した危険が起きなかったのは対策が機能した証拠です。「何も起きなかった=無駄だった」ではなく「予防できた」と捉えましょう。

Q5. この記事で紹介された失敗事例のような状況を防ぐため、明日からできる具体的な行動は?

A. ①朝礼前に工程表を必ず確認する、②「今日いつもと違うこと」を3つ書き出す、③KY用紙に「作業内容」欄を追加して記入を義務化する、の3つから始めてみてください。小さな習慣の変化が大きな安全につながります。

まとめ|KYを軽く見ていた失敗からの教訓

  • KYは今日の作業とセット → 工程表と連動させる
  • 具体性がないKYは機能しない → どこで・誰が・どう危ないかを明示
  • 事故が起きていなくても油断しない → ハインリッヒの法則を忘れない
  • KYは現場の空気を変えられる → 若手の指摘を歓迎する文化を

最後に、たかしんルールです。

KYは「書く安全」ではなく、「考える安全」です。

明日の朝礼で、「今日いつもと違うことは?」と一言問いかけることから始めてみてください。

その一言が、あなたの現場を守ります。

参考リンク・関連情報

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この記事を書いた人

プロフィール:
はじめまして、たかしんです。
施工管理として15年以上、工程管理・安全管理を中心に現場を見てきました。
このサイトでは、若手施工管理が現場で詰まらないための「実務の判断基準」を発信しています。