コンクリート打設で最も避けたい不具合の一つが「ジャンカ」です。
見た目の問題だけではありません。
強度低下・耐久性低下・漏水リスクなど、後工程や引き渡し後のクレームにも直結します。
はじめまして、たかしんです。
施工管理として15年、工程管理・安全管理を中心に現場を担当し、
1級建築施工管理技士として多くの現場を見てきました。
断言します。
ジャンカは“運”ではなく“管理不足”で起きます。
この記事では、施工管理目線で
- ジャンカが起きる本当の原因
- 打設前にやるべき確認事項
- 打設中に見るべきポイント
- 発生したときの対処法
を整理します。
目次
1. そもそもジャンカって何?

ジャンカ(豆板)とは、コンクリートの充填不良によって生じる欠陥の一種です。打設時にセメントペーストと粗骨材が分離し、骨材が局所的に集中することで空隙が形成されます。構造物の水密性や耐久性を損なう要因となるため、適切な補修が求められる現象です。
ザラザラした断面が蜂の巣みたいに見えるので、この名前がついています。初めて現場で見たとき、「これは大丈夫なのか?」と焦ったのを今でも覚えています。
よく発生する場所
- 柱・梁の隅部(コンクリートが一番回りにくい)
- 開口部周辺(型枠が複雑になりやすい)
- 鉄筋が密集している箇所(コンクリートが流れる隙間が狭い)
- 打ち継ぎ部(前回と今回の境目)
共通点は「コンクリートが回りにくい場所」であるという点です。この意識を持つだけで、現場でのリスク予測力が格段に上がります。
⚠️ ジャンカを放置するとこうなる
- 構造強度の低下(断面が欠けているので当然です)
- 耐久性の低下(中性化・塩害が進みやすくなる)
- 漏水リスクの増大
- 引き渡し後のクレーム・契約不適合責任の問題(法的リスクにも発展します)
2. ジャンカが起きる5つの原因
原因を知らずに対策はできません。15年の現場経験から、主な原因を5つ挙げます。
原因① バイブレーターの使い方が不十分(これが一番多い)
「バイブレーター」は打設時にコンクリートに差し込んで振動させ、空気を抜いてコンクリートを隅々まで行き渡らせる道具です。これの使い方が甘いと、ほぼ確実にジャンカが出ます。
- 挿入間隔が広い(JASS5では60cm以下、現場では50cm以内が推奨)
- 挿入時間が短い(目安は5〜15秒)
- 下層のコンクリートに10cm以上差し込んでいない
打設が急いでいる現場ほど起きます。「ポンプを止めたくない」というプレッシャーから、締固めが追いつかなくなる。これがジャンカを作る黄金パターンです。
原因② 打設スピードが速すぎる

圧送(ポンプ車でコンクリートを送り込む)を止めたくないという現場の流れから、どんどん打設してしまうことがあります。締固めが追いつかなければ、必ずどこかに空洞が残ります。
原因③ 鉄筋が過密

梁の端部や柱の根元は鉄筋が集中していて、コンクリートが流れにくい状態になっています。図面を見た段階でバイブレーターやポンプのホースが入るかどうかを想像できるのが、できる施工管理者の条件だと思っています。
原因④ 型枠の隙間・漏れ

型枠(コンクリートの形を作る枠)に隙間があると、サラサラしたモルタル分だけが流れ出てしまい、砂利だけが残ります。これが典型的なジャンカのメカニズムです。型枠の精度確認は打設前の必須作業です。
原因⑤ コンクリートの配合・スランプ不足

「スランプ」とはコンクリートの流れやすさの指標です。特に冬場は気温が下がるとスランプが落ちて、コンクリートが硬くなりすぎて充填不良になります。逆に夏場は運搬中にスランプが落ちる「スランプロス」にも注意が必要です。
3. 打設前に絶対やるべきこ
ジャンカは打設中に「気をつける」だけでは防げません。打設前の段取りで8割が決まります。これは本当のことです。
たかしんの経験談
正直に言うと、若手のころは「打設前の確認なんて形式だけ」と思っていました。でもジャンカを出してしまって設計者への報告・補修に3日かかった経験をしてから、考えが変わりました。打設前の段取りは「形式」じゃなく「保険」です。
鉄筋・型枠の確認
- バイブレーターが入るスペース(最低50mm)があるか
- 型枠の隙間・セパレーター周りに漏れの心配がないか
- 開口部周辺の型枠固定は十分か
打設計画の共有
- どこから打設を始めるか、打設順序を全員で確認したか
- バイブレーター担当者に挿入間隔・時間のルールを伝えたか
- 人員は締固め作業を追いかけられる十分な人数か
- コンクリートのスランプ値は配筋密度に適しているか
天候・季節の確認
- 冬場(5℃以下):寒中コンクリートとして温度管理が必要
- 夏場:スランプロス対策(運搬時間の短縮など)
- 雨天:養生シートの準備と水セメント比への影響確認
4. 打設中に監督が見るべきポイント
打設中、若手監督がよくやる失敗は「写真を撮ることに集中して現場の動きを見ていない」こと。写真は大事ですが、現場の目が一番大事です。
バイブレーターの動きを常に確認する
- 挿入間隔:50cm以内になっているか(JASS5準拠)
- 挿入時間:5〜15秒確保されているか
- 下層への差し込み:10cm以上差し込んでいるか
- 同じ場所を長時間振動させていないか(材料分離の原因になる)
コンクリートの流れを目で追う
- 片側から一気に打設して型枠が偏っていないか
- 密配筋箇所でコンクリートが回っているか(目視・叩いた音で確認)
ポンプ車と作業員の連携を確認する
打設ペースが締固めを追い越していると感じたら、すぐにポンプを止めて調整します。「止めにくい雰囲気」を作らないのも施工管理者の仕事です。
5. ジャンカが発生した場合の対処フロー(6ステップ詳細版)
ジャンカをゼロにするのが理想ですが、現場では発生してしまうこともあります。問題はそのあとの対応です。一番やってはいけないのが「隠すこと」。
⚠️ 絶対に隠さないこと
住宅品質確保促進法(品確法)や建設業法の観点から、ジャンカの隠蔽は「契約不適合責任」の問題に発展します。補修費用だけでなく損害賠償リスクも生じます。発見したら、必ず設計者・監理者へ報告してください。
対処フロー
| ステップ | 作業内容 | 詳細 |
|---|---|---|
| Step 1 | 範囲を特定する | 打音検査(ハンマーでたたく)・目視でジャンカの位置・深さを確認します。「コン、コン」と軽い音がする箇所は空洞のサインです。 |
| Step 2 | 写真で記録する | 発生箇所を複数アングル・スケールを当てて撮影します。これが証拠になり、後の補修承認や報告書に使います。 |
| Step 3 | 設計者・監理者へ報告する | 自己判断で隠さず、速やかに報告します。住宅品質確保促進法(品確法)の観点から、隠蔽は契約不適合責任・損害賠償リスクに発展します。 |
| Step 4 | 補修工法を協議・承認してもらう | 規模に応じて工法を選定し(下記参照)、必ず設計者の承認を得てから着手します。 |
| Step 5 | 補修施工を実施する | 承認された工法で施工します。ポリマーセメントの場合は、はつり後に接着剤を塗布し、モルタルを密実に充填します。 |
| Step 6 | 完了記録を提出する | 補修前・補修中・補修後を写真で記録し、完了報告書を作成・提出します。この記録が最終的な品質の証明になります。 |
補修工法の選び方
規模によって使う工法が変わります。
- 軽微(深さ・幅ともに20mm以下):ポリマーセメントモルタル補修。はつり(削り)→接着剤塗布→モルタル充填の順で行います。
- 中程度(鉄筋が見えない範囲):エポキシ樹脂注入工法。小さな穴から注入して空隙を埋めます。
- 重度(鉄筋露出・断面欠損あり):設計者・構造設計者と補強工法を協議。鉄筋の錆の状況も確認が必要です。
✅ 補修のルール
補修工法の最終判断は必ず設計者・監理者の承認を得ること。施工管理者が「これくらいなら自分で直せる」と判断して施工するのはNGです。
6. よくある質問(Q&A)
Q1. バイブレーターの使い方って、どこかで規定されているの?
JASS5(日本建築学会の建築工事標準仕様書)に規定があります。内部振動機の挿入間隔は60cm以下が目安で、現場では安全を見て50cm以内が推奨されています。挿入時間の目安は5〜15秒。これを知っているだけで現場での指示がしやすくなります。
Q2. ジャンカって施工管理の試験にも出てくる?
1級・2級施工管理技士の学科試験でコンクリート工事の品質管理として出題されることがあります。「締固め不足による充填不良」という形で出ることが多いので、バイブレーターの使い方と合わせて覚えておくと有利です。
Q3. 冬場の打設は特に何に気をつければいい?
気温5℃以下の打設は「寒中コンクリート」として別途管理が必要です(JASS5 12節参照)。コンクリートの流動性が下がるのでスランプ管理が重要で、運搬時間の短縮や養生時の保温対策も必要です。冬場にジャンカが増えるのはこれが原因です。
Q4. 施工管理者がジャンカを「隠した」場合、どんな責任を問われる?
建設業法・住宅品質確保促進法(品確法)の観点から、隠蔽は瑕疵担保責任・契約不適合責任の問題に発展し、補修費用だけでなく損害賠償リスクも生じます。会社の信頼も失います。絶対にやめましょう。
Q5. 施工管理の仕事でジャンカ以外に気をつけるべき打設中の不具合は?
「コールドジョイント(打ち継ぎ不良)」「材料分離(骨材と水が分かれる)」「ひび割れ」なども重要です。ジャンカを防ぐ管理ができれば、これらのリスクも自然と下がります。打設中の目配りが一番の対策です。
7. まとめ:ジャンカは「段取り」で防ぐもの
15年やってきて一番強く思うのは、ジャンカは締固め技術の問題じゃなく、段取りと管理の問題だということです。
- リスク箇所を図面段階で把握する
- 打設計画を事前に全員で共有する
- バイブレーター担当者へ具体的な指示を出す
- 打設中は写真より現場の動きを優先して目配りする
- 発生したら隠さず、すぐに報告・記録する
たかしんのルール
段取り8割、打設2割。施工管理は現場に立つ前が勝負です。
この記事で紹介した内容を、ぜひ次の打設計画に取り入れてみてください。施工管理を目指している人は、現場見学のときにバイブレーターの使い方を注意して観察してみると、多くのことが見えてきますよ。
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