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現場で嫌われない施工管理と、信頼される施工管理の違いとは?

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施工管理の「人間関係の悩み」は誰もが通る道

施工管理をしていると、一度は考えます。

嫌われたくない

でも、なめられたくもない

注意はしたいけど、関係は悪くしたくない

若手施工管理ほど、「人間関係」と「仕事の厳しさ」の間で悩みがちです。

はじめまして、たかしんです。
施工管理として15年、工程管理・安全管理を中心に現場を担当し、1級建築施工管理技士として多くの現場を見てきました。

建設業界では、技術者不足が深刻化しており、国土交通省の調査によれば2026年には施工管理技術者が大幅に不足すると推計されています。そんな中、若手施工管理が早期に離職する理由の上位には「人間関係」が挙げられています(厚生労働省「雇用動向調査」)。

結論から言います。
「嫌われない施工管理」と「信頼される施工管理」は、似ているようで全く別物です。

この記事では、その違いと、若手施工管理が目指すべき立ち位置を、実例を交えながら整理します。

目次

「嫌われない施工管理」とはどういう存在か

まず、よくある勘違いから

多くの若手施工管理が目指してしまうのが、こんな姿勢です。

波風を立てない施工管理

  • 強く言わない
  • 指摘を控える
  • 現場の空気を優先する

一見、「人当たりがいい施工管理」に見えます。

でも、実は評価は高くない

現場ではこう思われがちです。

  • 何も言わない人
  • 判断しない人
  • 責任を取らなそうな人

👉 嫌われてはいないが、頼られてもいない。

実例:何も言わなかった結果

ある現場で、職人が足場の安全帯を外して作業していました。工期が迫っており、若手施工管理は「時間がないから仕方ない」と見過ごしました。

結果、翌週の安全パトロールで指摘を受け、是正作業で工程が1日遅延。職人からも「なぜあの時言わなかったんだ」と信頼を失いました。

これが「嫌われない施工管理」の正体です。
その場の空気は守れても、現場の結果は守れません。

「信頼される施工管理」とはどういう存在か

次に、現場で本当に信頼される施工管理の特徴を見ていきます。

言うべきことは、きちんと言う

信頼される施工管理は、以下の場面で必ず声をかけます。

  • 危険な作業
  • 無理な工程
  • 品質が落ちる判断

👉 ポイントは、感情ではなく基準で伝えていることです。

良い例:
「この作業、安全基準では安全帯の使用が必須です。工期は私が調整しますので、まず安全を確保させてください」

悪い例:
「何やってるんですか!危ないでしょ!」

現場全体を見て判断している

信頼される施工管理は、個人を責めません。現場全体の影響で話します。

実例:鉄筋の配筋ミスを発見した時

個人攻撃型:
「◯◯さん、図面と違いますよ。ちゃんと見てます?」

現場全体型:
「この配筋、図面と照合すると△△の部分が気になります。コンクリート打設前に一緒に確認させてください。手戻りを防ぎたいので」

👉 「この人は現場を守ろうとしている」と伝わる伝え方です。

一貫性がある

信頼される施工管理は、判断基準がブレません。

  • 昨日OKで今日NGということがない
  • 人によって態度を変えない
  • 約束したことは必ず実行する

この一貫性が、長期的な信頼を生みます。

両者の一番大きな違いは「覚悟」

嫌われない施工管理と、信頼される施工管理の違い。

それは、一時的に嫌われる覚悟があるかどうかです。

タイプ守っているもの結果
嫌われない施工管理今の空気その場は穏便だが、後で問題が発生
信頼される施工管理現場の結果一時的に煙たがられても、最終的に感謝される

「覚悟」とは具体的に何か

例えば、こんな場面です。

場面1:工期が迫っているとき
安全上NGな作業を見つけても、工程を止める判断をする

場面2:ベテラン職人の慣習
「昔からこうやってる」という方法でも、基準を示して修正を求める

場面3:元請けの無理な要求
現場の実情を説明し、安全や品質を理由に調整を依頼する

その瞬間は「面倒な奴」と思われるかもしれません。しかし、事故や大きなトラブルを防げば、後から「あの時止めてくれて良かった」と言われます。

これが「一時的に嫌われる覚悟」の正体です。

若手施工管理がやりがちな3つの間違い

特に若手に多いのが、次の行動パターンです。

間違い①「嫌われたら仕事が回らない」という思い込み

実際は逆です。

危険を放置したり、無理な工程を通したりすると、後で必ず大きな問題になります。

実例:型枠の締め付け不足を見逃した結果

若手施工管理が「ベテラン大工に指摘しづらい」と放置した結果、コンクリート打設時に型枠が膨らみ、全面やり直しに。工程は1週間遅延し、職人からの信頼も失いました。

👉 「嫌われたくない」と思って何も言わないことが、最も仕事を回らなくする原因になります。

間違い②全員に好かれようとする

現場では、全員に好かれる施工管理は存在しません。

なぜなら、施工管理の役割は

  • 安全を守る
  • 品質を守る
  • 工程を守る

時には、誰かの「楽な方法」や「早い方法」を止めなければならないからです。

👉 目指すべきは、好かれることではなく、信頼されることです。

間違い③注意を後回しにする

「後で言おう」と思ったことは、たいてい忘れます。そして問題が大きくなってから発覚します。

原則:危険や品質の問題は、その場で確認する

「親方、ちょっと確認させてください」という一言から始めれば、角は立ちません。

信頼を築く具体的な行動指針

ここが実務のポイントです。

①注意の目的をブレさせない

正しさを押し付けるのではなく、目的を共有することが重要です。

共有すべき目的

  • 「安全に終わらせたい」
  • 「工程を守りたい」
  • 「手戻りを防ぎたい」

この軸があると、言葉が強くなりにくくなります。

②普段の行動に一貫性を持たせる

信頼を失うパターン

  • 昨日はOK、今日はNG
  • 人によって態度が違う
  • 言ったことを実行しない

一貫性を保つコツ

  1. 判断基準を明文化する(安全基準、施工要領書、品質基準)
  2. 迷ったら「最悪のケース」を想定する
  3. 自分の判断理由を説明できるようにする

③現場で使える実践フレーズ集

すぐに使える言い回しを5つ紹介します。

フレーズ1:危険作業を止める時
「安全第一でお願いします。この作業、◯◯の危険があるので、△△の対策を追加させてください」

フレーズ2:ベテラン職人に確認する時
「親方、教えてください。図面では◯◯となっていますが、現場判断で変更が必要でしょうか?」

フレーズ3:工程遅れを伝える時
「現状、工程が△日遅れています。◯◯と××を調整すれば取り戻せると考えていますが、ご協力いただけますか?」

フレーズ4:品質を指摘する時
「この仕上がり、施工要領書の基準と照らすと◯◯の部分が気になります。一緒に確認させてください」

フレーズ5:無理な要求を断る時
「その方法だと、安全上リスクがあります。代替案として△△はいかがでしょうか?」

④自己診断チェックリスト

あなたはどちらのタイプか、チェックしてみましょう。

以下の質問に◯×で答えてください

  • 危険な作業を見ても、注意せず見過ごすことがある
  • 職人によって指摘の厳しさを変えている
  • 「後で言おう」と思って忘れることが多い
  • 注意する時、感情的になってしまう
  • 判断に迷った時、何も言わずに流してしまう

3つ以上◯なら要注意
信頼される施工管理への転換が必要です。本記事の内容を実践してみてください。

人間関係がこじれる施工管理の共通点

逆に、関係が悪くなりやすい施工管理の特徴を見ていきます。

①感情で注意する

悪い例
「何回言ったらわかるんだ!」

良い例
「この作業、昨日も確認しましたが、安全基準上△△が必要です。一緒に手順を確認させてください」

②その場しのぎで判断する

一貫性のない判断は、最も信頼を失います。

例:

  • 月曜日:「それはダメです」
  • 水曜日:「まあ、今回はいいです」
  • 金曜日:「やっぱりダメです」

👉 このような二重基準が、最も信頼を損ないます。

③説明せずに指示だけ出す

「◯◯してください」だけでは、職人は納得しません。

改善例
「◯◯してください。理由は△△で、これをしないと××のリスクがあるためです」

👉 これは「厳しい」ではなく、雑な対応です。丁寧に理由を説明することが信頼につながります。

若手施工管理が目指すべき立ち位置

若手のうちは、これで十分です。

全員に好かれなくていい

でも、逃げない

言うべきことは言う

👉 「この人は現場を考えている」と思われれば、信頼は後からついてきます。

実際の成長曲線

信頼を取り戻すには、現場の規模にもよりますが、一貫した行動を3ヶ月続ければ変化が見えてきます。

重要な3つのポイント

  1. 言ったことを必ず実行する
  2. 判断基準をブレさせない
  3. 職人の意見も尊重する姿勢を見せる

焦らず、目の前の現場を確実に守る姿勢を貫いてください。

若手施工管理からよくある質問(FAQ)

Q1. 注意したら職人に無視されるようになりました。どうすればいいですか?

A. まず、注意の仕方を振り返ってください。「感情的な注意」と「基準に基づく指摘」は全く別物です。

「◯◯さん、それダメですよ」ではなく、
「この作業、安全基準では△△が必要なので、一緒に確認させてください」

と伝えると、受け取られ方が変わります。

また、普段から職人の良い作業を認める声かけをしていると、注意も受け入れられやすくなります。

Q2. ベテラン職人に注意するのが怖いです。どうしたらいいですか?

A. 「注意する」ではなく「確認する」スタンスで臨みましょう。

「親方、この部分は図面だと◯◯になっていますが、現場判断で変更されましたか?」

と、教えてもらう姿勢で確認すれば、対等な会話になります。

年齢や経験ではなく、「図面・基準・安全」という共通ルールを軸に話すことが重要です。

Q3. 厳しく言うと「使えない施工管理」と陰で言われそうで怖いです

A. 逆です。何も言わない施工管理の方が「使えない」と言われます。

職人は、現場を守ろうとしている施工管理かどうかを見ています。一時的に煙たがられても、結果的に事故や手戻りを防げば、「あいつがいて良かった」と評価されます。

ただし、伝え方は工夫が必要です(本文の実践フレーズ集を参照)。

Q4. 判断基準はどうやって身につければいいですか?

A. 以下の3つを習慣化してください。

  1. 先輩施工管理の判断理由を必ず聞く
  2. 安全基準・施工要領書を読み込む
  3. 迷った時は「最悪のケース」を想定して判断する

特に③は重要で、「この判断で事故が起きたら?」「工程が遅れたら?」と考えると、優先順位が明確になります。

Q5. 信頼を取り戻すにはどれくらい時間がかかりますか?

A. 現場の規模にもよりますが、一貫した行動を3ヶ月続ければ変化が見えてきます。

重要なのは

  • 言ったことを必ず実行する
  • 判断基準をブレさせない
  • 職人の意見も尊重する姿勢を見せる

この3点を守り続けることです。焦らず、目の前の現場を確実に守る姿勢を貫いてください。

まとめ|現場を守る覚悟を持とう

最後にまとめです。

重要ポイント

  • 嫌われない施工管理=波風を立てない
    → その場は穏便だが、問題を先送りにする
  • 信頼される施工管理=現場を守る
    → 一時的に煙たがられても、結果的に感謝される
  • 一時的に嫌われる覚悟は必要
    → 安全・品質・工程を守るため
  • 判断基準が信頼を作る
    → 一貫性のある行動が長期的な信頼につながる

補足:施工管理と職人は対立関係ではない

施工管理と職人は上下関係ではなく、「現場を成功させる」という共通目標を持つチームです。

お互いの専門性を尊重しながら、それぞれの役割を果たすことが重要です。

明日から実践できること

好かれることを目指すのではなく、「この現場を無事に終わらせる」という責任を果たすこと。

それが、結果的に最も信頼される道です。

明日の現場から、以下の1つだけでも意識してみてください

  • 危険な作業を見たら、必ず声をかける
  • 注意する時は、感情ではなく基準を示す
  • 判断に迷ったら、「最悪のケース」を想定する

小さな一歩の積み重ねが、あなたを「信頼される施工管理」に変えていきます。

現場の安全と成功を、共に目指しましょう。

参考資料・関連リンク

建設業の労働環境について

施工管理技術者の現状

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この記事を書いた人

プロフィール:
はじめまして、たかしんです。
施工管理として15年、建築現場で工程管理・安全管理を中心に携わってきました。
資格は1級建築施工管理技士です。

これまで、工程が崩れる現場・事故が起きる現場・逆にうまく回る現場を数多く見てきました。
その中で感じたのは、
現場が回るかどうかは「根性」ではなく「考え方と型」で決まるということです。

このブログでは、

工程管理がうまくいかない理由

若手施工管理が最初に身につけるべき判断基準

無理な工程・危険な作業をどう止めるか

といったテーマを、実際の現場経験ベースで発信しています。

「何から手を付ければいいか分からない」
「工程も安全も両立したい」

そんな若手施工管理の迷いが一つ減るブログを目指しています。