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ベテラン職人に注意できない若手施工管理が最初に知るべき考え方

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「あの一声」が出せなかった経験、ありませんか?

安全帯をつけずに脚立に登るベテラン職人。足場の手すりが外れたまま作業が進んでいく。養生が不十分なまま高所作業が始まろうとしている。

「危ないです」

その一言が、喉まで出かかっているのに声にならない。年上で経験豊富な職人さんを前に、言葉が飲み込まれていく。

あなたもこんな経験、ありませんか?

現場で危ないと思っているのに声をかけられない。ベテラン職人の作業に違和感があっても見て見ぬふりをしてしまう。「自分が言っていいのか?」と迷っているうちに作業が進む。若手施工管理なら、一度は経験があるはずです。

はじめまして、たかしんです。
施工管理として15年、工程管理・安全管理を中心に現場を担当し、
1級建築施工管理技士として多くの現場を見てきました。

結論から言います。ベテラン職人に注意できない原因は、伝え方のテクニックではなく「考え方」にあります。

この記事では、若手施工管理が最初に持つべきベテラン職人との向き合い方の軸を整理します。現場で実際に効果のあった声のかけ方、そして何より大切な「心の持ち方」まで、15年の経験から得た実践知をお伝えします。

目次

なぜ若手施工管理はベテラン職人に注意できないのか【3つの心理的ブレーキ】

注意できないのは、あなたの能力不足ではありません。理由はとてもシンプルで、誰もが感じる自然な心理です。

① 経験差・年齢差への遠慮

自分より現場を知っている人に対して、自分が口を出すのは失礼では?そう感じるのは当然です。

  • 自分より現場経験が長い
  • 年上で発言力がある
  • 「この人は何十年も現場にいる」という事実

👉 「自分が言うのは失礼では?」という気持ちがブレーキになります

実際に私が担当した若手施工管理にアンケートを取ったところ、約80パーセントが「経験差による遠慮」を最大の障壁として挙げています。

② 「間違っていたらどうしよう」という不安

自分の判断が本当に正しいのか分からない。もし勘違いだったら気まずい。若手ほど、正解を求めすぎて動けなくなります。

  • 自分の知識・判断に自信がない
  • 指摘が的外れだったら恥ずかしい
  • 専門用語や安全基準を完璧に理解していない

👉 若手ほど、完璧を求めすぎて声をかけるタイミングを逃します

しかし厚生労働省の労働災害統計を見ると、建設業の死亡災害の約40パーセントが墜落・転落です。その多くは「いつもやってるから大丈夫」という慣れが原因とされています。あなたの「何となく危ない」という違和感は、往々にして正しいのです。

③ 人間関係が壊れるのが怖い

注意することで嫌われたくない。現場の空気を悪くしたくない。この気持ちも、とてもよく分かります。

  • 次から話しかけづらくなるかもしれない
  • 他の職人さんからの評判が悪くなるかもしれない
  • 現場の雰囲気が気まずくなるかもしれない

👉 結果として、一番大事な「安全」を後回しにしてしまいます

しかし、ここで考えてほしいのです。本当に壊れるような関係は、そもそも信頼関係ではありません。適切な注意で壊れる関係なら、それは遅かれ早かれ現場で問題になっていたはずです。

注意しないことが現場に与える3つの深刻な影響

声をかけない選択は、一見穏やかに見えますが、現場では確実に悪影響を及ぼします。

① 小さな危険が見逃され、重大事故につながる

建設業労働災害防止協会のデータによると、重大事故の約70パーセントには「事前の予兆」があったとされています。

  • 足場の不安定さ
  • 無理な姿勢での作業
  • 養生不足や保護具の未着用

👉 小さな違和感が、事故の入口になります

私が経験した事例では、「ちょっと気になったけど言わなかった」足場の緩みが、翌日の強風で大きく揺れ、危うく転落事故になりかけたケースがありました。幸い無事でしたが、あのとき声をかけていればと今でも後悔しています。

② 工程遅れ・手戻りにつながる

危険なまま作業を進めると、結果的に工程が崩れます。

  • 作業中断(安全確認のため)
  • 手直し(不適切な施工のやり直し)
  • 工程組み直し(予定の大幅変更)

👉 「今注意したら工程が遅れる」と思って黙った結果、もっと大きな遅延を招きます

実際、私が担当した現場で、養生不足を指摘せず進めた結果、仕上げ材に傷がつき2日間の手戻りが発生したことがあります。その場で5分止めていれば防げた問題でした。

※工程遅れの背景については「工程遅れが起きる現場の共通点」でも詳しく解説しています。

③ 「何も言わない施工管理」という立ち位置が固定化する

一度黙ると、次も言いづらくなります。それが習慣化すると、職人さんからは「あの人は何も言わない人」として認識されます。

👉 これは信頼ではなく、安全管理の役割を果たせていない状態です

逆に言えば、最初の段階できちんと声をかける習慣をつければ、「この人はちゃんと現場を見ている」という評価につながります。

【重要】ベテラン職人の本音を知っていますか?

ここで、あなたに知ってほしい事実があります。

私はこれまで、ベテラン職人さんに「若手施工管理からの注意をどう感じるか」を直接ヒアリングしてきました。その結果、意外な本音が見えてきました。

ベテラン職人が若手施工管理に求めていること

「若いから遠慮してるのは分かるけど、気づいたことは言ってほしい」(配管工・経験35年)

「ちゃんと理由を説明してくれれば、むしろ若手の方が新しい知識を持ってることもある」(大工・経験28年)

『怒られる』と思って身構えられるのが一番困る。一緒に安全に終わらせたいだけなのに」(鳶職・経験22年)

多くのベテラン職人は、若手施工管理を敵だと思っていません。同じ現場を安全に終わらせたい仲間だと考えています。

むしろ、何も言わずに後から問題になる方が、職人さんにとっても迷惑なのです。

ベテラン職人に注意できる施工管理の3つの共通点

注意できる施工管理は、特別な話術を持っているわけではありません。ある共通した「考え方」を持っているだけです。

① 正しさより「目的」を共有している

「ダメだから」ではなく「安全に終わらせたいから」というスタンスです。

❌ 「それ、規則違反です」 ⭕ 「安全に終わらせたいので、ここだけ確認させてください」

👉 目的が共有できれば、対立にはなりません

これは私が最も重視しているポイントです。注意は「あなた vs 職人」の構図ではなく、「私たち vs 危険」という構図なのです。

② ルールではなく理由を伝えている

「決まりだから」ではなく「なぜ危ないか」を説明します。

❌ 「安全帯は規則ですから」 ⭕ 「この高さだと、万が一のときに大怪我につながるので」

👉 ベテランほど、理由が分かれば納得してくれます

ベテラン職人は長年の経験から、理由のない指示に違和感を持ちます。逆に、きちんと理由を説明すれば、経験豊富な分、リスクを理解する力も高いのです。

③ 命令口調を使わない

「やめてください」より「ちょっと気になって」という確認・共有の形にします。

❌ 「その作業、やめてください」 ⭕ 「ここ、ちょっと危なく見えるんですが、どうでしょうか」

👉 確認・共有の形にすると、受け取られ方が大きく変わります

これは相手を立てるという意味もありますが、それ以上に「一緒に考える」姿勢を示すことで、協力関係を作るテクニックです。

若手施工管理が最初に変えるべき3つの考え方【これが本質です】

ここが一番大事です。テクニックより先に、考え方を変えましょう。

① 注意=ケンカではない

注意は、相手を否定することではなく、現場を守る行為です。

多くの若手が「注意=対立」と捉えていますが、これは大きな誤解です。適切な注意は、むしろ相手への配慮であり、プロとしての責任です。

② 止めることも施工管理の仕事

施工管理の仕事は、進めることだけでなく、止めることも含まれます。

国土交通省の建設業法令遵守ガイドラインでも、施工管理技術者の役割として「工事の施工管理」「安全管理」が明記されています。これは立場の話であって、年齢や経験年数の話ではありません。

👉 若手でもベテランでも、施工管理としての役割は同じです

※判断に迷ったときの軸は「若手施工管理が現場で迷わなくなる判断基準」で整理しています。

③ 年齢差より立場を見る

「年下だから言えない」ではなく、「施工管理として言うべきことがある」と考えます。

これは年上の職人さんを軽視するという意味ではありません。むしろ、ベテラン職人の経験と技術には若手が学ぶべきことがたくさんあります。その上で、「安全」という共通の目標のために、立場としての役割を果たすことが施工管理の仕事なのです。

なお、最終的な安全責任は現場責任者・安全管理者にあります。若手施工管理が一人で抱え込む必要はありません。判断に迷ったら、必ず上司や先輩に相談してください。

明日から使える実践フレーズ【難易度別3段階】

理論だけでは現場は変わりません。具体的に、明日から使える形でまとめます。

【レベル1】関係構築の段階(今日からできる)

まずは注意以前に、日常的なコミュニケーションから始めます。

例文

  • 「おはようございます。今日も暑いですね」
  • 「昨日の仕上がり、すごくきれいでしたね」
  • 「この工法、初めて見ました。勉強になります」

👉 こういった日常の積み重ねが、注意のハードルを下げます

【レベル2】確認ベースで入る(関係構築後)

命令ではなく、確認・質問の形で声をかけます。

例文

  • 「ここ、ちょっと確認させてもらってもいいですか?」
  • 「この状態、このまま進めて大丈夫でしょうか?」
  • 「もし〇〇だったら危ないかなと思ったんですが、どうでしょう?」

👉 個人の意見ではなく、現場全体の話にするのがコツです

【レベル3】共有として伝える(信頼関係確立後)

目的を共有し、一緒に解決する姿勢を示します。

例文

  • 「今日この作業、ここが一番危ないと思っていて…一緒に確認させてください」
  • 「もしここで何かあると、工程も止まってしまうので、念のため確認したいんです」
  • 「安全に終わらせたいので、ここだけ対応してもらえますか?」

【NG集】絶対に使ってはいけない言い方

逆に、避けるべき表現も明確にしておきます。

❌ NG例なぜダメか⭕ 改善例
「それ、ダメですよ」命令口調で対立を生む「ここ、ちょっと気になって」
「規則違反です」ルールの押し付け「安全基準では〇〇とされているので」
「事故ったらどうするんですか」脅しに聞こえる「万が一のことを考えると心配で」
「前も言いましたよね」責める印象を与える「再度確認させてください」

信頼される施工管理は「注意の前」にこれをしている

実は、注意しやすい関係は日常で作られます。私が見てきた「信頼される施工管理」に共通する習慣をご紹介します。

① 日常会話を積み重ねている

  • 朝の挨拶
  • 何気ない雑談
  • 作業中のちょっとした声かけ

👉 これがあるだけで、注意のハードルは劇的に下がります

実際、私が担当した若手施工管理で最も早く職人さんと良好な関係を築いた人は、毎朝必ず全員に声をかけていました。特別なことは何もしていません。ただ、継続していただけです。

② 良い仕事をちゃんと認めている

  • 「仕上がりがきれいですね」
  • 「段取りが早くて助かります」
  • 「さすがですね、勉強になります」

👉 普段の評価が、注意を受け入れる土台になります

人は、自分を認めてくれる人の意見は聞きたくなるものです。注意だけでなく、承認もセットで伝えることが大切です。

③ 自分の未熟さを認めている

  • 「まだ分からないことばかりで」
  • 「教えてもらえますか?」
  • 「勉強させてください」

👉 謙虚さは、関係性を柔らかくします

これは卑屈になるという意味ではありません。分からないことを分からないと言える誠実さが、信頼につながるのです。

よくある質問【若手施工管理の不安に答えます】

Q1. ベテラン職人に注意したら、その後の関係が気まずくならないか心配です

A: 確かに最初は不安ですよね。ただ実際には、理由を丁寧に説明した注意は関係を壊しません。むしろ「この若手は現場をちゃんと見ている」と評価されることが多いです。

大切なのは注意の「後」です。その日のうちに別の話題で声をかけたり、良い作業を見つけて褒めたりすることで、関係は自然に戻ります。私の経験では、きちんと注意できる施工管理の方が、最終的に職人さんから頼られる存在になっています。

Q2. 自分の判断が間違っていたらどうすればいいですか?

A: 間違えても大丈夫です。むしろ「確認させてください」という姿勢で声をかければ、間違いも学びになります。

例えば「この養生、このままで大丈夫でしょうか?」と聞いて、職人さんから「これはこういう理由で問題ない」と教えてもらえれば、それも貴重な経験値になります。

大切なのは「違和感を放置しないこと」。判断の正確さは経験で身につきますが、声をかける習慣は最初から作れます。

Q3. 元請けの上司や先輩がいるときは、自分が注意していいのでしょうか?

A: 基本的には現場で気づいた人が声をかけるべきです。ただし状況によっては上司に報告して判断を仰ぐ方が適切な場合もあります。

判断基準は「緊急性」です。今すぐ止めないと危険な場合は、自分から声をかけてOK。その後で上司に報告すれば問題ありません。判断に迷う場合は「〇〇さん、ちょっとこれ確認してもらえますか?」と上司を巻き込む形でもいいでしょう。

Q4. 注意しても聞いてもらえない職人さんにはどう対応すればいいですか?

A: 1回の注意で変わらない場合は、記録を残して上司に相談することが重要です。

「〇月〇日〇時、△△の作業について安全面の懸念を伝えましたが改善されませんでした」と記録し、上司や安全管理者と共有してください。これは「告げ口」ではなく、組織として安全を守るための正当な手続きです。個人で抱え込まず、チームで対応する姿勢が大切です。

Q5. 「昔からこうやってる」と言われたらどう返せばいいですか?

A: 「昔からのやり方」には敬意を示しつつ、現在のルールや状況の変化を伝えるのが効果的です。

例えば「そのやり方、確かに実績がありますよね。ただ今回は〇〇という条件が違うので、△△の対応が必要だと思うんですが、どうでしょうか?」という形です。

全否定ではなく、状況の違いを共有する姿勢が受け入れられやすくなります。

まとめ|注意できる施工管理は、現場から信頼される

最後にまとめです。

注意できない原因は「考え方」にある

  • 若手でも立場として止めていい
  • 注意は対立ではなく、現場を守る行為
  • 目的は安全に終わらせること

実践のポイント

  • 命令ではなく確認の形で
  • ルールより理由を伝える
  • 日常のコミュニケーションが土台

大切な心構え

  • ベテラン職人は敵ではなく仲間
  • 完璧である必要はない
  • 違和感を放置しないことが第一歩

注意は「対立」ではなく、同じ現場を守るための共有です。

明日の現場で、小さな違和感を見逃さないでください。その一声が、あなたとベテラン職人、そして現場全体を守ることになります。

最初は勇気がいるかもしれません。声が震えるかもしれません。でも、その一歩を踏み出せば、あなたは「信頼される施工管理」への道を歩き始めています。

たかしんルール

完璧な注意である必要はありません。「気づいたことを伝える」、それだけで十分です。

ベテラン職人も、安全に終わらせたい気持ちは同じ。敵ではなく、同じゴールを目指す仲間です。

安全な現場を、一緒に作っていきましょう。

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この記事を書いた人

プロフィール:
はじめまして、たかしんです。
施工管理として15年、建築現場で工程管理・安全管理を中心に携わってきました。
資格は1級建築施工管理技士です。

これまで、工程が崩れる現場・事故が起きる現場・逆にうまく回る現場を数多く見てきました。
その中で感じたのは、
現場が回るかどうかは「根性」ではなく「考え方と型」で決まるということです。

このブログでは、

工程管理がうまくいかない理由

若手施工管理が最初に身につけるべき判断基準

無理な工程・危険な作業をどう止めるか

といったテーマを、実際の現場経験ベースで発信しています。

「何から手を付ければいいか分からない」
「工程も安全も両立したい」

そんな若手施工管理の迷いが一つ減るブログを目指しています。