「グアー」「ギョー」という不気味な奇声が、観光地としても知られる伊豆大島の夜を覆い尽くしていることをご存知でしょうか？
一見すると可愛らしい子鹿のような姿をしていますが、この特定外来生物の「キョン」が、今、島民の生活を根底から揺るがす深刻な問題となっています。その数はなんと、島民の3倍以上、2万頭超。特産のアシタバは食べ尽くされ、夜にはその野太い鳴き声が安眠を妨害し、住民を心身ともに追い詰めています。
なぜ、伊豆大島でこれほどの異常事態が起きてしまったのか？
本記事では、記者が現地で目撃し、聞いたキョンの驚くべき生態と、住民が直面しているリアルな被害、そして東京都が乗り出した「根絶」への対策を徹底解説します。各地で獣害が相次ぐ今、伊豆大島のキョン問題は、私たちにとっても決して他人事ではありません。ぜひ、最後まで読んで、この深刻な現状を知ってください。
【伊豆大島】住民を悩ますキョンの「大量繁殖」と止まらない被害の実態
引用元： (産経新聞) – Yahoo!ニュース
🚨シカ科の特定外来生物「キョン」が島の生態系を破壊
伊豆大島の島民を深く悩ませているのが、シカ科の特定外来生物である「キョン」の大量繁殖です。中国などに生息するこの小型草食獣は、今や島民の3倍超、2万頭あまりにまで増加しているというから驚きです。
＜ここがすごい！または、ちょっと気になる…＞ 島民よりも数が多い「人間さまよりもキョンさま」という状況は、想像を絶しますよね。このまま増え続けたら、島はどうなってしまうのだろうかと、とても心配になります。
🌿特産品「アシタバ」が食い荒らされる深刻な農業被害
キョンによる被害は生活のあらゆる面に及んでいます。特に深刻なのが農業被害です。島の特産品であるアシタバは、以前は島のいたるところに生えていたにも関わらず、キョンに食べ尽くされ「今は全くない」という声まで聞かれます。
記者が現地で取材に協力してもらった一般社団法人「伊豆大島農業生産組合」代表理事の藤田光正さんも、その深刻さを語っています。また、畑の作物だけでなく、「何でも食べてしまうので家庭菜園もできない」という住民の声もあり、被害の広さがうかがえます。
🚗記者が目撃！夜の道路を横切るかわいらしい動物の危険性
都心の南約120キロに位置する伊豆大島で、記者は午後7時過ぎ、車で移動中に子鹿のように小さくかわいらしい動物がとことこと横切るのを目撃しました。それがキョンです。
藤田さんは「これまでにも2、3回飛び出してきて車とぶつかったことがある」と語っており、そのかわいらしい見た目とは裏腹に、交通事故のリスクを高める危険な存在にもなっています。
🏘️「庭にわなで8頭捕獲」！住宅街にも広がるキョンの脅威
キョンは山奥だけでなく、住宅街にも出没し、住民の生活を脅かしています。散歩中の80代女性が「庭に設置したわなで8頭捕獲した」というエピソードからは、その繁殖力と生息域の広さがリアルに伝わってきます。これだけ身近な場所にいるとなると、住民の方々は常に気を張っていなければならないでしょう。
【安眠妨害】キョンの「酔っ払いがえずく」鳴き声の正体と根絶への取り組み
🔊未明に響き渡る「グアー」「ギョー」の奇声
キョンが島民の安眠を妨害しているのが、その独特な「鳴き声」です。翌朝5時、毎朝キョンを見るという女性の散歩に同行すると、あちらこちらの茂みから「グアー」「ギョー」という大きくて野太い奇声が反響したといいます。
都の担当者が例える「酒に酔った中年男性がえずくような声」という表現は、現地で聞いた記者にとっても頷けるものだったようです。未明にこれほどの声が反響すれば、島民にとって大きなストレスとなるだろうという記者の考察にはとても共感します。
＜ここがすごい！または、ちょっと気になる…＞ その鳴き声が「酔っ払いがえずく」と表現されるほど強烈だなんて、想像しただけでもちょっとゾッとします。静かな夜中に響き渡る野太い声は、本当に安眠を妨害するだろうなと感じます。
🌀台風で野生化！キョンが伊豆大島で爆発的に増えた経緯
キョンは昭和45年、都立大島公園の動物園で飼育されていた個体が台風で壊れた柵から逃げ出し、野生化したのが伊豆大島での始まりとされています。
天敵となるクマやオオカミがいないこと、そして繁殖力が強いことから、島内で爆発的に増加してしまったようです。人間の都合で野生化してしまった歴史があるだけに、駆除の難しさも感じますね。
💰報奨金制度で捕獲を強化！都のキョン対策
キョンの被害拡大を受け、都は対応に乗り出しています。平成19年から猟銃を使った駆除を始め、わなの改良も進めてきました。その結果、令和3年には頭数が減少傾向に転じたとのことです。
さらに、今年9月からは捕獲に報奨金を設けるという新たな取り組みも始まりました。住民がわなで捕獲し通報すれば、1頭につき8千円が支給されるとのことです。
🍴千葉県ではジビエ活用も！都はあくまで「根絶」を目指す
キョンの繁殖は伊豆大島だけでなく千葉県でも問題化しており、そちらでは捕獲した個体を食肉処理施設が処理したジビエとして活用する動きもあるようです。
しかし、小池百合子知事は9月の記者会見で、キョンのジビエ活用に採算面から否定的な見方を示しており、都としてはあくまでキョンの「根絶」を目指す考えを示しています。
💡獣害対応の難しさ！伊豆大島キョン問題の今後の行方
各地でクマ被害が相次ぐ今、伊豆大島のキョン問題は、獣害対応の難しさを物語っていると言えるでしょう。人間の安全や生活と、野生動物の共存という永遠の課題に、私たちはどう向き合っていくべきか考えさせられます。予防策の研究も進められているとのことですが、この問題が一日でも早く解決に向かうことを願うばかりです。
まとめ：伊豆大島キョン問題の核心と今後の展望
伊豆大島で深刻化している特定外来生物「キョン」の大量繁殖問題について、その現状と対策を振り返ります。
- 深刻な現状: キョンは島民の3倍以上にあたる2万頭超にまで増加し、島の生態系と住民の生活を脅かしています。
- 主な被害:
- 農業被害: 特産品であるアシタバや畑の作物が食べ尽くされ、家庭菜園も困難な状況です。
- 安眠妨害: 「酔っ払いがえずくような声」と例えられる奇声が未明に響き渡り、住民に大きなストレスを与えています。
- 交通事故: 夜間に道路へ飛び出し、車の運転手にとっても危険な存在となっています。
- 繁殖の経緯: 昭和45年、動物園から台風で逃げ出した個体が野生化し、天敵がいないことから爆発的に増加しました。
- 都の対策: 平成19年から駆除を開始し、現在は捕獲に報奨金を支給する制度も導入して捕獲強化を図っています。
- 根絶を目指す: 千葉県ではジビエ活用例もありますが、東京都は採算面から否定的な見解を示し、**キョンの「根絶」**を目指して対策を進めています。
伊豆大島のキョン問題は、単なる地方の問題ではなく、全国各地で問題となっている獣害対応の難しさを象徴しています。東京都の取り組みが成功し、島民の平穏な生活が一日でも早く戻ることを願うばかりです。
